第6章 照明・船灯
6.1 室面積と照明灯
6.1.1 照度基準等
表6.1.1 船舶の照度基準(JIS F 8041:1986)@居住区域
照度 lx 照 明 場 所 500 診察台上(診察) 250 テーブル上(客室、食堂、娯楽室、図書室)、食卓上(食堂、娯楽室) 200 寝台の枕元(客室)、鏡の前(客室、洗面所、便所)、理髪及び美容室 食堂、喫煙室、娯楽室(和室を含む)、スポーツルーム、図書室 ラウンジ、診察室、売店 (カクテルラウンジはムード照明として照度は適当とする。) 150 船長級居室 100 船長級寝室、船員室、客室、病室、旅客用出入口 50 浴室、洗面所、便所、居住区内通路、階段室(昇降口を含む)、プール 10 居住区周辺の外部通路
A航海装置区域
照度 lx 照 明 場 所 250 海図机上、作業卓 200 無線室、ナビゲーションルーム(クレーンバージ、リグ)、オペレーションルーム(クレーンバージ、リグ) リグマネージメントルーム(クレーンバージ、リグ) 100 ジャイロ室・レーダー室等の電気機器室、パイロットハウス(クレーンバージ、リグ) 50 操舵室、海図室
B業務区域
照度 lx 照 明 場 所 250 事務机上、調理台上 100 事務室、調理室、配ぜん室、肉処理室、製パン室、洗濯室等 50 食料庫、乾燥室、ロッカー及び諸倉庫 30 食料冷蔵庫
C操作区
照度 lx 照 明 場 所 500 工作機械の作業面 300 計器盤面(機関制御室、荷役制御室)、工作台上(工作室) 操縦卓上(機関制御室、荷役制御室) 200 機関制御室、荷役制御室、計器盤面(非常発電機室) 150 機関室・ボイラ室・補機室の主操作場所及び監視場所 100 機関室・ボイラ室・補機室の主通路、階段及び出入口、工作室、非常発電機室 54 荷油管及び燃料油管の陸上パイプとの接続部(水平面(USCGによる。)) 50 蓄電池室、甲板長倉庫、塗料庫、貨物油ポンプ室、操舵機室、空調機室 車両甲板、自動車甲板、機関室諸倉庫 30 冷凍貨物倉 20 機関室・ボイラー室・補機室で保安上タンク裏等に近づくための通路、軸室 一般貨物倉(固定灯)、上甲板下通路、カーゴウィンチの操作場所 ムアリングの作業場所、救命艇及び救命筏の積付場所 11 荷油及び燃料油積込場所(バルブ、ホース、ダビット付近の甲板上900mm(USCGによる。)) 2 救命艇の進水面(任意の測定箇所いずれにおいても)
備考 船舶の照度基準及び照度測定方法は、国内的にはJIS Z 9110:2010(照度基準)
及びJISC 7612:1985(照度測定方法)を目安として利用している。
また、国際的には、IES、DOT,NSC等の照度規定がある。
表6.1.2 船舶の各部の照明計算例(光束法による。)
光束(lm) : 20WFL (蛍光灯…1140 lm) 60W IL (白熱灯…590 Im)
400WFL (蛍光灯…3000 lm) 100W IL (白熱灯…1150 lm)照 明 場 所 保証平均
照度
(lx)計算(設計)
照度
E(lX)灯具の種類 設備灯数
(N)照明率
(U)保守率
(M)床面積
A(m2)船長級室 150 187 20W 4灯付 FL 2 0.36 0.77 13 船員室 100 135 20W 2灯付 FL 2 0.30 0.77 7.5 事務室 200 208 20W 3灯付 FL 3 0.35 0.77 12.8 病室 200 207 20W 4灯付 FL 4 0.36 0.77 23.6 食堂 200 212 20W 4灯付 FL 14 0.44 0.77 98.4 厨房 200 230 40W 4灯付 FL 7 0.42 0.77 59 洗面所・シャワー・WC 100 142 20W 2灯付 FL 4 0.57 0.77 27.1 倉庫 50 50.5 60W IL 3 0.30 0.77 8.1 倉庫 50 56.2 100W IL 4 0.30 0.77 11.1 非常発電機室 150 181 40W 2灯付 FL 2 0.37 0.77 18.9 主機関室 100 106 40W 2灯付 FL 35 0.60 0.77 1,000 機関制御室 200 224 20W 4灯付 FL 15 0.44 0.77 100 本表は光束法による照度計算の一つの例である。室内の全般照明の平均照度とランプ光束との関係は光束
法の公式で表される。この場合ほぼ一様な照度分布が前提条件となるので灯具数の多い場合の例である。
保証平均照度(lx)を決めておいて、設備灯数を求める式は次のとおりとなる。
表6.1.3 減光補償率
減光補償率は灯具の使用に伴う光源の劣化を予測して、使用時間経過後でも
当初、計画した照度が確保できるようにするための余裕係数である。
減光補償率の逆数を「保守率」といい、一般的には、0.7〜0.8が使用される。
一般的な減光補償率の例(舶用電気工学便覧より)灯具 装 備 場 所 減光補償率 保守率 蛍光灯 居住区及び暴露甲板 1.3 0.77 機関室、ボイラ室及び補機室 1.5 0.67 調理室(厨房) 1.7 0.59 白熱灯 居住区及び暴露甲板 1.2 0.83 機関室、ボイラ室及び補機室 1.3 0.77 調理室(厨房) 1.5 0.67
表6.1.4 照明率
照明率(U)は、作業面に入射する光束と光源の光束の比である。
これは室内各面(天井、壁)の反射率及び室指数から、灯具の形式によって
決められるもので、照明器具製造会社の製品カタログに記載されている。
この照明率を製品カタログから求めるパラメータとなるのが室指数である。
一般的な照明率の目安
場 所 照 明 率 船長級室、各室等 0.35〜0.40 一般船員室 0.30 公室(事務所、病室、食堂) 0.35〜0.40 洗面所、浴室、トイレ等 0.40〜0.50 主機械室 0.55〜0.60 機関制御室等 0.40〜0.50 舵機室、揚錨機室 0.55 倉庫等 0.30
表6.1.5 灯数決定の目安となる W/u(蛍光灯の場合)
光束法による照度計算では、いろいろの条件、係数を決める必要があり、急ぎの見積
設計等では、手間がかかるので、W/m2から必要灯数を求める簡便法を利用するとよい。
即ち、室の寸法やデッキの高さが普通のものであれば、実績船での平均照度、どの程度の
W数の灯具を何個付けたかを記録、整理しておくことにより、簡単に目安程度の必要数
を求めることができる。
灯数決定の目安となるW/u(蛍光灯の場合) (船舶電機工学便覧より)平均照度
(lx)単位照明床面積あたりのW数(W/m2) 埋込型灯具 グローブ付灯具 グローブなし灯具 50 2.5 2.2 2 100 5 4.5 4 150 7 6.5 6 200 9.5 9 8 250 12 11 9.5 300 14.5 13.5 11.5 目安としての必要灯数の求め方は、次のとおりである。
表6.1.6 反射率
@材料反射率
材 料 反射率(%) 建 築 材 料 プラスター(白) 60〜80 タイル (白) 60〜80 白壁 60〜80 テックス(白色) 50〜70 〃 (淡色) 30〜50 スレート 30〜40 コンクリート 25〜40 赤レンガ 10〜30 畳 30〜40 花崗岩 20〜30 トタン 20〜30 石膏 87 土 10〜20 アスファルト 10 木 材 ひのき板 50〜60 すぎ板 30〜45 すぎ板赤味板 30 えぞまつ 60 なら 35 ベニヤ板 30〜40 紙 吸取り紙 70〜80 ケント紙 75 アート紙 60〜65 新聞紙 40〜50 障子紙 40〜50 薄美濃紙 30〜40 ハトロン紙 30〜35 トレーシングペーパー 20〜25 布 木綿(白) 50〜70 〃 (黒) 2〜3 黒しゅす 2〜3 黒ビロード 1〜2 ガラス 透 明(無色) 8〜10 つや消し 10〜15 淡乳色、むく 10〜20 濃乳色、むく 40〜50 鏡面ガラス 80〜90 金属 銀 (磨) 90〜95 アルミ(電解研磨) 80〜85 〃 (磨) 65〜75 〃 (つや消) 55〜65 クローム(磨) 60〜70 ステンレス 55〜65 銅 (磨) 50〜60 鋼鉄 (磨) 55〜65 ペイント メラミン(白) 80〜85 ラッカー(白) 75〜80 ほうろう(白) 60〜75 油絵具 (白) 75〜85 アルミペイント 60〜75 エナメル(白) 65〜75 ペンキ (白) 60〜70 〃 (黒) 5〜10
Aマンセル明度と反射率
明 度 反射率(%) 明 度 反射率(%) 10 100 6 29 9.5 88 5.5 24 9 77 5 19 8.5 67 4.5 15 8 58 4 12 7.5 49 3 6 7 42 2 3 6.5 35 1 0.1
B色彩拡散面の反射率
色 彩 反 射 率(%) 明るい 平 均 暗 い 黄 70 50 30 ベージュ 65 45 25 茶 50 25 8 赤 35 20 10 緑 60 30 12 青 50 20 5 灰 60 35 20 白 80 70 - 黒 - 4 -